変わらぬ日本社会:慰安婦が性奴隷として認知されにくい背景

<文1>

送出国において現地ブローカーが女性を募集し、出国手続を請け負う。送出国から日本までは監視役のブローカーが女性に同行する。日本に到着すると女性は、日本側ブローカーや斡旋先の営業者によってパスポートを取り上げられ、監禁され、渡航費用等の名目で多額の「借金」を背負わされ、その返済のため性風俗関連産業等で売春を強要される。女性は、常時監視され、稼ぎが少ない等の理由で頻繁に暴力を受ける。逃亡を抑止するために不法滞在者として警察に逮捕される。」、「本国の家族を殺す。」等の脅迫が用いられる。

<文2>

 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。


これら2つの文、そっくりというか、まるまる同じ。

<文2>は有名な「河野談話」ですが、<文1>は2005年に国会図書館が出した「日本における人身取引対策の現状と課題」という論文です。

<文1>
岡村ら、『日本における人身取引対策の現状と課題』、国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 485(JUN.21.2005)、(3) 人身取引の典型的なパターン より抜粋。なお原文の引用番号は削除した。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0485.pdf

<文2>
平成5年8月4日 『慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話』より抜粋
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html


結局、「旧日本軍+ヤクザ」が「日本政府の不作為+ヤクザ」に変わっただけか・・・
「性奴隷 (sex slave)」で変な妄想を抱いてウホウホしてる場合じゃないつ〜に、エロい人
(一部(?)の日本人男性)

わずか2万人足らずの女性の強制連行ばかり話題になって、それよりはるかに多かった男性の強制労働がほとんど論じられないのは、この問題に関心が集まる原因が(正義を装った)性的好奇心であることを示しています。私が取材したのは、主として男のほうなので、こっちについて少し補足しておきます。


池田信夫 blog 「慰安婦問題の再調査が必要だ」 2007-03-12
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/ab4e9f4e372098e706c47ba5c5d032a2

コメント欄の池田氏自身の補足

(読後の感想)正直な人である


なお、「日本における人身取引対策の現状と課題」には次のような興味深い指摘があります。

(4) 被害者及び加害者の取り扱い
前述のように殺人事件の発生でその実態が知られるようになったものの、人身取引について日本社会の関心が高まることはなかった。公的機関による保護はほとんどなされず、今日に至るまで、主として民間のシェルターが、運よく逃げ出すことに成功した被害者に一時保護の場を提供してきた。人身取引被害者を受け入れる民間シェルターは、数が限られており、しかも、いずれも財政的に大変厳しい状況にある。また現行の法制度では、殺人等の犯罪を犯していなくても、人身取引の被害者の多くは不法入国者又は不法就労者であり、犯罪者として取り扱われ、強制送還されることとなる。一方、加害者については、人身取引自体が罪(注)とされていないうえ、後述するようにその過程を捉えて検挙することができるものの、言渡し刑はその罪状に比して極めて軽い。犯罪組織にとって、人身取引が麻薬や武器の密売に比べ、安全で効率の良い商売となっている


(注)現在、人身取引については刑法が改正されている(下のリンク参照)
第162回国会において成立した「刑法等の一部を改正する法律(平成17年6月22日法律第66号)の出入国管理及び難民認定法関係部分」について
http://www.moj.go.jp/NYUKAN/nyukan39.html

  • 2007年7月11日追記 ossanさんからの情報

国務省人身売買監視対策室 2007年人身売買報告書(日本の項目を抜粋した仮翻訳)
http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-j20070702-50.html