メチルフェニデート関連のニュース
いずれにせよ、メチルフェニデートの濫用問題が主であって、それが治療で必要な患者の目線に立った記事ではない。
コンサータが中学生までのAD/HDに適応とか、何をアナクロなこと書いてるんでしょう。大本営発表みたいで気持ちが悪い。
以下、報道が科学的知見を正確に反映していない部分は、打消し線入れます。
リタリン:流通も規制強化 処方の医師を登録制に…厚労省(毎日新聞 2007年10月3日)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20071004k0000m040131000c.html
依存性の高い向精神薬「リタリン」の乱用問題で、厚生労働省は3日、リタリンを処方できる医師や医療機関を登録制にして流通を制限することを決めた。製造・販売元のノバルティスファーマ(東京都港区)が乱用防止のため適応症からうつ病を削除する方針を決めているが、適応症のない患者に処方する医師が後を絶たないため、流通段階も厳しく管理し、乱用に歯止めをかけたい考えだ。厚労省は乱用被害が深刻な広がりを見せていることから、同社に早急に具体策をまとめるよう指示しており、今月中に薬事・食品衛生審議会の部会を開き、流通管理策と併せてうつ病*1への適応症削除を認める方針。
厚労省などによると、リタリンの流通規制は法律ではなく同社の自主管理に委ねる。同社が外部の医師や薬剤師、弁護士ら有識者による委員会を設置し、処方を認める医師や医療機関、調剤薬局のリストを作成。調剤薬局は患者の提示した処方せんが登録医などの出したものかを確認し、登録外であれば調剤を拒否し、同社に通報する−−などの仕組みが検討されている。
リタリンの適応症はうつ病の削除で「ナルコレプシー」(睡眠障害)だけとなる。同症状の診断には脳波や血液の精密検査が必要。現在はどの医師でもナルコレプシーと診断してリタリンを処方することが可能だが、今後は同社が登録する専門医や医療機関しか処方できなくなる。
また、これまでは健康保険を使わない自由診療であれば、どんな症状の患者にもリタリンを処方することが可能だったが、流通規制が導入されればこうした違法な処方も不可能になる。
一方、厚労省はリタリンと同じ成分の塩酸メチルフェニデートで、
小児期の注意欠陥多動性障害「ADHD」の治療薬「コンサータ」を承認申請中のヤンセンファーマ(東京都千代田区)にも、月内に流通管理策をまとめるよう指示した。【精神医療取材班】
ADHD治療薬、初の承認へ リタリンと同成分(asahi.com 2007年10月04日)
http://www.asahi.com/health/news/TKY200710030344.html
小児の発達障害である注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療薬としては国内で初めて「コンサータ」が承認される見通しになった。3日開いた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で薬効や安全性が確認された。ただ、薬物依存が問題になっている向精神薬「リタリン」と同成分のため、厚労省は製薬会社に対し、処方できる医師を限定するなど厳しい流通管理を求める方針だ。今月中に同審議会の部会を開き、製造販売元のヤンセンファーマ社(東京都千代田区)に求める具体的な条件を定め、正式に承認を決める。
原案では、処方できる医師を「ADHDを正確に診断できる専門医」に限定するため、関連学会に所属▽診断講習を受けた――などの基準でリストをつくる。調剤薬局にも処方した医師や医療機関が登録されているか確認を求める。
同薬は、リタリンと同じ塩酸メチルフェニデートが薬効成分。世界で広くADHD治療薬として使用される。国内では従前、同成分のリタリンが未承認のままADHD治療に使われてきた。だが乱用問題を受け、リタリンを処方できる医師は睡眠障害「ナルコレプシー」の専門医らに限られる方針となっている。
依存症を懸念する声もあるが、同社によると即効性のあるリタリンに比べ、急に血中に溶け出さないよう乱用防止の工夫をしているという。
適用は中学生ぐらいまでの子どもに限る。承認後、来年2月ごろに発売される見込み。
注意欠陥障害の新薬承認へ 国内初、乱用防止を検討(東京新聞 2007年10月3日)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007100301000677.html
集中力がなく、落ち着きがないなどの症状がある「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の国内初の
小児向け治療薬「コンサータ」について、厚生労働省薬事・食品衛生審議会薬事分科会は3日、有効性や安全性に問題はないとの結論を出した。通常は、分科会で了承されると国が製造販売を承認するが、コンサータは乱用が問題となっている向精神薬「リタリン」と成分が同じため、厚労省は流通を管理する必要があると判断。10月中に開く専門家による部会で協議し、管理方法を決めた上で承認する。
コンサータはADHD治療薬として60カ国以上で承認されており、昨年4月に製薬会社ヤンセンファーマ(東京)が製造販売の承認を申請した。中枢神経系の機能を高める作用がある成分の塩酸メチルフェニデートが、リタリンに比べ、ゆっくり放出される。
(共同)
【関連情報】
Medsafe requests Ritalin SR be made available (Medsafe 27 September 2007)
http://www.moh.govt.nz/moh.nsf/indexmh/medsafe-requests-ritalin-sr-be-made-available-27sep07?Open
ニュージーランドでは、リタリンSRの同等薬、Rubifen SRで副作用が報告され、保健省が検討して、リタリンSRの処方が可能になった(Rubifen SRで副作用があった患者限定だが)。依存が問題になったわけではない。
Medication Guide for treating ADHD (PatientsMedGuide.org)
http://www.parentsmedguide.org/pmg_adhd.html
アメリカ精神医学会とアメリカ児童青年精神医学アカデミーが執筆したADHD治療の投薬ガイド*2(一般・患者・患者家族向け)
「ど、どんだけ違うねん!」という一例。
How is ADHD medication taken?
(snib)
For those children who have difficulty swallowing pills, a patch applied to the skin, liquid medications, chewable pills, and capsules that can be opened and sprinkled on food also are available.
薬の服用方法
(略)
薬を飲み込むことが困難な子供たちに対しては、皮膚に貼るパッチ薬(Daytrana)、液剤(Methylin) 、チューワブル錠(Methylin) 、そしてカプセルを空け食事に振り掛けることが可能な薬もあります。
(ADHD Parents Medication Guide pdfファイル、p.6)