米国産牛肉は安全。どこが不安なの?

全面開放を要求 牛肉輸入で米国 (MSN産経ニュース2007.11.17)

【ワシントン=渡辺浩生】米国産牛肉の輸入問題をめぐり、ブッシュ米大統領は16日の日米首脳会談で福田康夫首相に「国際基準に基づき、日本市場が米国産牛肉の輸入を全面的に開放することを望む」と述べ、生後20カ月以下に限定している輸入牛肉の全面解禁を求めた。これに対し、<福田首相「科学的所見に基づいて牛肉問題に対処する」と従来の立場を崩さなかった。


 米国で2003年に初のBSE(牛海綿状脳症)の感染牛が確認され、日本は輸入再開後も20カ月以下の月齢制限を続けている。国際獣疫事務局(OIE)は5月に米国を月齢制限を必要としない「準安全国」に分類。日本は30カ月未満への条件緩和を打診しているが、食肉業界の圧力も受け、米政府は月齢制限撤廃を譲っていない。


(強調は引用者)


OIEは科学的知見に基づいて国別のリスク認定をしているので、福田首相が科学的所見に基づいた対応をするなら、年齢撤廃して完全解放しか選択はない。日本の専門家が出す科学的所見が世界の専門家を納得させるものになる可能性は殆どないし、実際にアメリカ産牛肉BSEリスクなんぞ無視していいのである。

また、全頭検査という国民の安心を得るための緊急措置だったわけで、30ヶ月以下の牛に迅速検査しても検出できないのだから止めてしまったほうがいい。特に安全性に寄与をしているわけではない。

各政党(与党、野党)の米国産牛肉や国内の全頭検査に対する見解(各党HPより)


自民党

048. 食品の安全確保
BSE問題、輸入食品の残留農薬問題への対応等、食の安全確保や食品健康影響評価等に万全を期し、リスクコミュニケーションの充実を図る。

http://www.jimin.jp/jimin/jimin/2007_seisaku/kouyaku/contents/02-1.html#01


公明党

ほぼすべての国産農水産物にトレーサビリティシステム(生産・流通の履歴追跡情報)を導入します。

http://www.komei.or.jp/policy/manifest/056.html


民主党

輸入牛肉に対するトレーサビリティの義務付け

 米国産牛肉の輸入が再開されましたが、米国における牛の月齢管理や飼料規制等の実効性や輸出プログラムの遵守が疑問視されている現段階での輸入再開は、国民の食の安全・安心を無視するものであり、今後も中止を求めていきます。また、国民の食の安全・安心を守り、消費者の選択権を保障するための、牛肉やその他加工食品等についてBSE検査済みの表示と原産地表示の義務化を実現します。さらに、輸入牛肉についても国産牛肉と同様のトレーサビリティを義務付けるため、「牛海綿状脳症対策特別措置法(BSE対策法)改正案」及び「輸入牛肉に係る情報の管理及び伝達に関する特別措置法案(牛トレーサビリティ法案)の早期成立をめざします。

http://www.dpj.or.jp/special/seisaku_list300/images/seisaku_list300.pdf


共産党

BSE全頭検査を維持し、安全・安心の食料を確保します

 アメリカのBSE対策のズサンさは、特定危険部位の除去、月齢20ヶ月未満という輸入条件に違反する米国産牛肉が相次いで検出されていることで、いよいよ明白です。ブッシュ政権は、「アメリカの牛肉は安全」と強弁し、輸出条件の緩和を執拗に求め、安倍内閣も、4月の日米首脳会談を前に全箱検査の廃止など条件緩和を約束しています。国民の健康と命より日米関係を最優先して、現在、国内で実施しているBSE対策を緩和することは許せません。

 米国産牛肉の輸入は、対日輸入条件が厳格に守られることが確認されるまで中止すべきです。当面、アメリカ産輸入牛肉の全箱検査を維持します。国内でのBSE「全頭検査」は、厚生労働省の毎年の政策実績評価書のなかでも、BSE感染牛を確実に発見できるとして評価されています。自治体の行なう「全頭検査」への補助金を08年度以降も継続します。

http://www.jcp.or.jp/seisaku/2007/07saninseisaku/105-kobetsu.html


社民党

1.輸入農畜産物・食品に対する監視を強化し、原料原産地表示を導入します。危険な米国産牛肉の輸入条件緩和に反対、再リスク評価の実施を求めます。全頭検査を継続します。

http://www5.sdp.or.jp/central/seisaku/manifesto07s.html


国民新党

食の安全に関する基準を厳格化するとともに、その基準に合致しない農産物等の輸入規制を強化する。

http://www.kokumin.or.jp/seisaku/senkykouyaku.shtml


新党日本

日本初の「原産地呼称管理制度」創設も、牛・羊・山羊のBSE全頭検査の独自実施も、健康と環境の視点を持った自律的な生産者を支援せねば、次代を担うこどもの食生活が危ない、との危機感からでした。

http://www.love-nippon.com/manifesto.htm


野党は、米国産牛肉の安全性に疑念をもっていて、全頭検査続行を支持しているが、どうしてこういう科学的知見に基づかないお花畑な感情論的政策を打ち出すのか理解できない。各党には科学的に物事を考えられる人も多くいると思うのだが・・・票狙いか?