Karen Parkerさんスゴイ!


国際人権活動日本委員会の掲示板より前田朗先生の投稿

F)国際教育開発(IED)

IED(カレン・パーカーさん)は次のように述べました。


IEDは1992年から日本軍による強姦被害者問題を人権委員会に提起してきた。平均的な被害者の苦痛を計算してみると、1日10回の強姦で年間3540回になる*1人権委員会*2に尋ねたい。あなたの娘が毎年毎年3540回強姦されたらいったいどんな補償を求めるのか。娘にどう説明するのか。ドイツは戦争被害者に数億ドルの補償を行なったが、日本は本質的に何も払っていない。戦争の責任を果たしていない国が常任理事国になるべきではない


 このスピーチの原文や他の慰安婦問題に関する文書が4つあります。翻訳している余裕がなくて申し訳ないのですが、リンクあげておきます。


(訂正、上の前田先生の投稿は2005年のもの、下のカレン・パーカーさんのスピーチは1995と1996年のもの、後ろ2つ法解釈の文書は1994年のものでした。勘違いしていましたので訂正します。)


 1995年の国連でのスピーチなどの以下のリンク先の文書で(ここまで追記)、カレンさんの専門である国際法の観点から、元慰安婦たちに対する日本政府の責任を見事に論じています。10年以上も前の文書ですが、今でも(今だからこそ)充分通用する内容。単にわたしが知らなかっただけなのかもしれませんが、必読だと思います。

COMFORT WOMEN CASE IN JAPAN Karen Parker, J.D. - Legal Archive

A landmark civil case before a Japanese court called for compensation of the survivors of a prostitution scheme during World War II. Under the jugun ianfu scheme, the government of Japan abducted or fraudulently induced the recruitment of women and girls from territories under Japanese occupation, transported them away from their homes, detained them in special facilities, and allowed its soldiers to repeatedly rape them. A significant number of women and girls were murdered outright or allowed to die of injuries or starvation.


Karen delivered a stinging speech at the 51st session of the U.N. Commission on Human Rights (1995) *3, outlining the essential facts of the case and the applicable international law. She presented a second statement at the 52nd session (1996), and has also written a legal opinion, divided into Part I and Part II *4.

Karen's law review article on this subject was cited by the U.N. Special Rapporeur on Violence Against Women in support of reparations. See "compensation for Japan's World War II War Rape victims (with Jennifer Chew)", 17 Hastings Int'l & comparative Law Review 497 (1994) .

キーワード

jus cogens (ユス・コーゲンス:強行規範)


 いかなる場合にも逸脱を許されない一般国際法のの規範で、後に成立する一般国際法の強行規範によらなければ変更できない規範のこと。条約法に関するウィーン条約53条に規定されている。任意の国際法規範が強行規範と抵触する場合、それが強行規範より後の法であったり、特別法であっても、無効とされる。


戦時・性暴力をどう裁くか―国連マクドゥーガル報告全訳〈増補新装2000年版〉

戦時・性暴力をどう裁くか―国連マクドゥーガル報告全訳〈増補新装2000年版〉

(127頁、引用者により一部改変)

erga omnes(エルガ・オムネス:対世的義務)


 これとは別に、「対世的義務」という概念もあります(第3回あたりで触れたと思います)。これはバルセロナ・トラクション事件で国際司法裁判所が示した考え方です。特定の国家に対して負う義務ではなく、国際社会全体に対して負う義務が「対世的義務」です。たとえば、侵略行為、ジェノサイド、アパルトヘイトなどといった国際犯罪と呼ばれる行為の禁止を挙げることができるでしょう


近畿大学法学部 西谷斉先生(国際法)のホームページQ&A 2006より

支那渡航婦女の取扱に関する件


・・・是等婦女の募集周旋等の取締にして適正を欠かんか帝国の威信を毀け皇軍の名誉を害ふのみに止まらず銃後国民特に出征兵士遺家族に好ましからざる影響を与ふると共に婦女売買に関する国際条約の趣旨にも悖(もと)ること無きを保し難きを以て*5旁ゝ(かたがた)現地の実情其の他各般の事情を考慮し爾今(じこん)之が取扱に関しては左記各号に準拠することと致度依命此段及通牒候


旧内務省資料でわかった「従軍慰安婦」の実態:A.K

*1:秦郁彦先生による慰安婦の総計2万人を基にした場合

*2:原文では日本を名指ししている

*3:上記の1995年の国連人権委員会でのスピーチ

*4:PART1&2は、慰安婦システムが当時の国際法に違反している犯罪であり、日本政府が賠償の責を全面的に負うことを具体的に指摘

*5:当時の日本政府が国際条約法を認知していたことの証拠、人身売買が国際条約法に触れる認識もあったと思われる