吉元玉さんの証言集会での一コマ

日本政府は謝罪を! 旧日本軍「慰安婦」被害者の吉元玉さん (京都民報 - 2010年5月17日)

 旧日本軍「慰安婦」被害者の吉元玉(キル・ウォノク)さんの証言を聴く会(実行委員会主催)が16日、長岡京市立中央公民館で開かれ、199人が参加しました。
 13歳のときに騙されて「慰安婦」にされた吉さんは、「初潮も知らず、軍人たちに暴行されたために血が出たのだと思った。生理中も暴行はやまず、ふとんが血で染まった。軍人に殴られ、血で染まった服が乾いて脱げなくなり、破いてはがした。性病になると、手術で子宮や卵管を除去され、子どもが産めなくなった。それでも治らず一度帰されても、治ったらまた連れて行かれた」と痛苦の経験を語りました。


この証言集会に参加しました。昨年11月に京都で行なわれた姜日出ハルモニの証言集会以来の参加です。
この証言集会の冒頭で、ピアノの演奏と『響(ヒャン)』という3名の女性コーラスグループの歌が披露されました。

『響』の方々の歌を聴きながらメモした内容があるので、それを紹介しておきたいと思います。

吉ハルモニの証言の前に、ピアノ演奏と歌があった。
歌のほうは「響(ヒャン)」という女性3人のコーラスグループで、白と淡いピンクのチマチョゴリを着て、すごく奇麗だった。

後で奥さんと衣装の色について話し合ったが、あれの色は「処女(おとめ)」の色なのではなかろうかという考えで一致した(本当かどうかはわからないけれど)。

そのとき、おいらたちが朝鮮に生まれて結婚していたら、娘にも同じように白と淡いピンクのチマチョゴリを着せているのかも知れない。そう思うとまた胸が苦しくなった。

「響」の歌は「アリラン」と「故郷の春」(故郷の春ってのは日本の「ふるさと」にあたるような歌だという紹介があった。)

彼女たちが吉ハルモニのために心を込めて歌う「アリラン」を聞いてすぐ、おいらは涙が止まらなくなった。「おいおい、おいらだけかよ〜(汗)」と思って周囲を見たら、結構ハンカチで目をぬぐっている方がいる。

そのときに、おいらはメモにこう書いた。
「彼女達が歌う歌は、ハルモニと痛みを分かち合うだけでなく、人間としての尊厳を誇る歌なのだ!」
「おいらたち日本人は日本人元慰安婦にこんな歌が歌えるのか?はたまた、アジア各地の被害女性の前でこんな歌が歌えるのだろうか?
 もし、こんな歌が歌えないのであれば、歌はなんのために存在しているのだ?」

魂の底から揺さぶられる歌だった、言葉がわからないことなんか何の問題でもなかった(そこに歌の素晴しさがあるわけだが)。

広島や長崎でなくなった人たち、空襲でなくなった人たち、沖縄戦でなくなった人たちに心をはせて魂の底から歌が歌える人たちは、日本人元「慰安婦」のために同じように魂の歌を歌ってほしい、そうすることで、はじめて他の国の被害女性のひとりひとりのために魂の歌が歌えるようになるような気がしてならない。

前身が娼婦であった方が多かった日本人元「慰安婦」の方々を、娼婦だったからという理由だけで切り捨ててはいけないんだと改めて思った。

ちなみに、この「白と淡いピンク」のチマチョゴリは、「プノンチマ」と言って、朝鮮の娘さんが着る衣装だと知人から教えてもらいました。

日本政府が謝らないことが問題なのは確かだし、1日でも早く公式謝罪をすることが絶対に必要だけれども、国レベルの問題というだけでなく、自分自身と日本軍「性奴隷システム」の被害女性との一人の個人と個人としての思いが伝わるような謝罪を日本政府に行なわせるために、今、何が必要かを再認識させられた集会でした。