歴史教科書をめぐる不毛な闘い
教科書改善の会
当会の「教科書改善の基本方針(概要)」に対する一部での悪宣伝について(教科書改善の会 2007年9月11日のエントリ)
さて、最近、「教科書改善の会」の活動について一部で誤った情報が意図的に流されております。7月24日に行った当会発足の記者会見で配布した「教科書改善の基本方針(概要)」に関するものですが、当会が側面支援する株式会社育鵬社が発行を予定している中学校の歴史教科書について「・南京事件については、事件の存否・規模について学説上の対立があり、実態が把握できていないことを明記する。・いわゆる従軍慰安婦については、発達段階を考慮し、記述しない」と書いていることを捉え、あたかも当会が中国・韓国政府の見解に迎合し、いわゆる自虐的な教科書記述を目指しているものといわんばかりのものです。当会にはもとよりそのような意図はなく、このような言葉尻を捉えて、揚げ足を取る手法には「またか」という思いがし、うんざりしているところです*1。
当会がこのような「基本方針」を発表するに至ったのは、既に昨年の夏あたりから、扶桑社が次に発行する歴史教科書は朝日新聞の論調に迎合し、中国・韓国政府の意向に沿ったものになるとの根拠のない悪宣伝が一部の人たちによって重ねて行われていたという事情があってのことでした。
ここのネジクレ愛国さんたちは、「「事件の存否」について」、「事件そのものを虚構として否定する有力な学説もある。」と言ってるが、マトモな歴史学者でそんなことを言ってる人はいない。それに、「いわゆる従軍慰安婦についても、日本軍や官憲による強制連行がなかったという歴史事実については承知のこと」らしいが、これもマトモな歴史学者からは聞いたことがない。
しかも、彼らにとって真っ当な歴史が教科書に書けないのは、文部科学省のイジメや仕返しのためらしい。
ここで考えておかなければならないのは、教科書には文部科学省の厳しい検定があるということです。実は、扶桑社版の過去2回の歴史教科書は検定の申請段階で南京事件について、事件そのものが虚構であった旨を記述致しました。しかしながら、それは文部科学省の受け入れるところとならず、むしろ検定意見で逆にそれに倍する自虐的な記述を求められるという結果を招き、現行版のような記述に落ち着いたという経緯があります。
・・・しかしながら、教科書に書くことは、現段階では極めて困難です。書けば、前2回と同様、「仕返し」によって、意図しない自虐的な記述を求められることになります。
それで、中国・韓国政府とその手先、朝日新聞からの干渉があると勝手に思い込み、ありもしない攻撃にびくびくし、文部科学省のイジメにびびりながらも、入院中のおやびんの宿願「美しい国・日本」の実現をめざすネジクレ愛国さんたちが非難しているのは↓
新しい歴史教科書をつくる会
新しい出版社は「自由社」に決定! 参加者全員で「反転攻勢」を誓う(つくる会Webニュース - 平成19年9月10日(月))
日本国民へのアピール*2
他方、育鵬社の教科書制作を支援する「教科書改善の会」(代表世話人・屋山太郎氏、事務局担当・八木秀次氏)が最近発表した教科書編集の基本方針によれば、「南京事件については、事件の存否・規模について学説上の対立があり、実態が把握できないことを明記する」とのことです。しかし、南京事件についてはこの10年で画期的な研究の前進があり、「実態が把握できない」どころか、虐殺はなかったという実態がほとんど余すところなく明らかになっています*3。また、基本方針は「いわゆる従軍慰安婦については、発達段階を考慮し記述しない」と書いています。裏返せば事実関係を争わないという宣言であり、つくる会の趣意書の精神とは正反対の執筆態度です。教科書問題の原点ともいうべき二つの歴史偽造を決して受け入れてはなりません。このことは、つくる会が扶桑社と袂を分かち、独自の道を歩むことの正しさをも実証するものです。
こっちのネジクレ愛国さんたちは、「南京大虐殺」はなかった。従軍慰安婦の強制連行はなかった。と堂々と教科書に書け!と、日和るな!と憤っていたりするわけです。
ご当人さんたち以外の日本人には激しくどーでもいいこと*4なんですが、ご当人さんたちにとっては抜き差しならない対立なんでしょうね。それに、ネジクレ愛国さんたち同志の喧嘩でも、「朝日」だったり「中国・韓国政府」だったりが攻撃材料(攻撃するほうも受けるほうも)になるのは激しく香ばしい*5。まぁ、勝手に泥仕合続けて、どっちも沈んでください(笑)
どっちの教科書も採択されないのが、こどもたちにとって一番いい!でFAでごじゃる。