食の安心のための愚策「全頭検査」をまだ続けるの?

BSE検査 消費者の安心が優先だ(北海道新聞、社説 - 12月1日)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/63550.html 魚拓
(以下、強調は引用者)

 国産牛の牛海綿状脳症(BSE)検査問題で、高橋はるみ知事が来年八月以降も道独自に全頭検査を継続する方針を表明した。

 厚生労働省は生後二十カ月以下のBSE検査に対する都道府県への補助を来年七月末で打ち切る方針だ。補助が打ち切られた場合も道は全額負担して全頭検査を続ける。

 道財政が厳しい中で、年間七千万円の新たな負担となる。しかし、相次ぐ食品偽装事件で消費者は食の安全・安心に敏感になっている畜産王国として、ここは独自にでも全頭検査を継続して道産牛への信頼を保ちたい

食品偽装の問題と、牛肉・乳製品の安全は全く別の問題。全頭検査は安全を担保するものではなく、消費者に対する安心対策。特定危険部位の除去と飼料規制が徹底していれば、BSEは牛の間では広まらないし、規制後の牛肉や牛肉・牛製品を食べて変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 (vCJD)に罹患した人間は世界中を探してもいない。

 全国では宮崎、新潟の二県の知事が全頭検査継続を明言した。鹿児島など八県が継続の方向で検討している。都道府県ごとに対応が異なれば生産や流通の現場が混乱するのではないか。

 全頭検査をしていない産地の牛肉を安全性の面で消費者がどう思うか肉牛農家や農業団体が自腹で検査費用を負担することもあり得る

はっきり言って、全国一律で20ヶ月未満(個人的には30ヶ月未満でもいいと思う)のBSE全頭検査を止めてしまえばいい。自腹で検査費用負担など論外である。これやって、ドイツではBSEが隠蔽される結果となり、パニック起こしたんじゃなかったっけ?他国の例に学べよ(ほんま、他国の例に学ばない点では抜きん出ているわ・・・)。

 しかし、その後、BSE発生のメカニズムとともに、肝心の国内感染源の解明が進んでいない。二十カ月以下の牛も本当に大丈夫なのか、消費者の不安はなお消えていない。

感染源の解明がなぜここまで進んでいないかは確かに疑問であるし、一刻も早く明らかにするべきだが、BSE発生のメカニズムの解明ってそんなに進んでなかったけ?

少なくとも伝達の拡大を食い止め、BSEが発生しない方法は確立しているし、それはどこの国でも明らかな成功をおさめている。人間が故意に汚染された飼料を牛に与えない限り、イギリスで発生した型のBSEは広がらない。

 世界一厳しいとされる国内のBSE対策は全頭検査と特定危険部位の除去が二本柱だ。消費者が国産牛肉に信頼感を持ち、生産者も安心なのはこの二つが機能しているためだろう。

おいおい、日本の検査が世界一厳しいなんてことはないぞ。不必要な検査までするのと厳しいのは別。
それに日本でBSEが爆発的発生を起こさなかったのは、幸運だっただけだとも言える。爆発的伝達が起こっていたら、全頭検査の安全神話なんぞいとも簡単に崩れ去っていたでしょう。


まあ、この社説を書いた方は、若齢牛のBSE全頭検査に意味がないことは知ってるみたい。タイトルが巧妙だ。

関連ニュース

BSEの国内感染源「代用乳」有力 肉骨粉説の見解覆す (朝日新聞 - 2007年11月22日)
http://www.asahi.com/science/update/1122/TKY200711220268.html


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