論破より先にすることがある 2
ひきつづき、「韓国人の嘘・捏造を完全論破!」と豪語する桜井誠『反日韓国人撃退マニュアル』(晋游社、2009年)から、「慰安婦」についての記述を引用し検討を加えてみたい。
日本軍に強制連行されたと主張する
自称元「従軍慰安婦」の証言も、黄錦周【*5】のように聞くたびに違う内容になったり、どう考えても嘘としか思えないもの【*6】だったり、証言と呼ぶに値しない虚言ばかりである。
【*5】黄錦周
自称元「従軍慰安婦」として数々の証言を行っている。「一七歳のとき、吉林省の慰安所に連行された」「一八歳のとき、村から娘を出すように言われ、ソウルの工場で働くと思っていたら慰安所へ」「一九歳のとき、日本軍にむりやり慰安所へ連行された!」などと、証言のたびに話が変ることで有名。【*6】
山田盟子『女性たちの太平洋戦争』(朝日新聞社)で紹介された自称元「従軍慰安婦」の証言では、「日本軍のクリスマス休暇には一日数十人の相手をさせられました」というものがある。言うまでもないが、日本軍にクリスマス休暇はない。
(桜井書、88ページ下段(【*5および*6】)および89ページ、不適切な表現は引用者が削除もしくは訂正した。)
まず、黄ハルモニの証言に疑義を呈したり、自称呼ばわりするのなら、それ相応の説得力のある根拠を参照した文献などとともに提供すべきである。その意味では、【*5】に示された3つのカッコづけされた文章はどれも引用元が記されておらず、読者は著者の主張が正しいのかどうか確認することができない。そのような確かな根拠に基づかない文章をいくら並べ立てても「証言のたびに話が変る」という結論が正しいかどうかも、やはり、確かなものかどうか判断することはできない。また、それ以外の部分、つまり、証言全体を読んでみたいという思いも必要も当然出てくるだろう。
ちなみに、著者の桜井誠氏は「慰安婦」関連の市民活動を率いておられるとのこと。読者のみなさんの中で桜井氏に出会うことがあったら、ぜひ、これら3文の引用元について質問されるとよいと思う。きっと明確な回答が即座にいただけるはずである。
また、【*6】の山田盟子『女性たちの太平洋戦争』(朝日新聞社)という書籍は見つからない。ネットで調べても、図書館で検索しても、本屋に問い合わせても、該当する本はなかった。これもきっと桜井氏が明確な回答を即座にしてくれるはずなので、彼と直接会う機会を持たれた方は、お訊ねになるとよいだろう。
ちなみに、山田盟子さんの著作で類似の題名をもつ本が2冊あり、朝日新聞社発行でも類似の題名の本が2冊ある。そのすべてに直接目を通したが、わたしが確認する限りにおいては、「日本軍のクリスマス休暇には一日数十人の相手をさせられました」という」記述自体が見当たらなかった。
ただ、興味深いことに、朝日新聞が黄錦周ハルモニを取材した特集記事『元従軍慰安婦 黄錦周の世界』(1〜4、朝日新聞(夕刊)1995年7月24日〜27日)に以下のような記述があった。
三年目からは慰安所で下の兵卒の相手さ。あとは年々下がっていく。多い日で十五人ぐらい。クリスマスは二十人近かったね。カネは一度ももらってないさ。
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