どくしょのじかん

論破より先にすることがある 3

桜井誠氏はご自身のブログ『Doronpaの独り言』の7月27日付のエントリでこう言っている。 慰安婦という名の「売春婦」を「日本軍に強制連行された可哀想な性奴隷」などとねつ造歪曲して声高に叫び、日本国民へいわれなき罪悪感を植え付けようとしているだけで…

論破より先にすることがある 2

ひきつづき、「韓国人の嘘・捏造を完全論破!」と豪語する桜井誠『反日韓国人撃退マニュアル』(晋游社、2009年)から、「慰安婦」についての記述を引用し検討を加えてみたい。 日本軍に強制連行されたと主張する自称元「従軍慰安婦」の証言も、黄錦周【*5】…

論破より先にすることがある 1

桜井誠『反日韓国人撃退マニュアル』(晋游社、2009年)という本を買った。 何でも「韓国人の嘘・捏造を完全論破!」らしい。「慰安婦」に関する章があったのでツラーっと読んでみた。 あれ?あれ?あれれれ? こんな内容で論破なんて無理!だって、間違い、…

どくしょのじかん Part 2 -その3(下)-

DAYS JAPAN (デイズ ジャパン) 2007年 06月号 [雑誌]出版社/メーカー: デイズジャパン発売日: 2007/05/19メディア: 雑誌 クリック: 9回この商品を含むブログ (3件) を見るこの雑誌の特集記事『「慰安婦100人の証言』のデータを視覚化してみて、あらためてシ…

どくしょのじかん Part 2 -その3(上)-

『慰安婦』関係の書籍の間違いを指摘したり、著者の作為的引用や捏造を指摘してばかりいると、時々、なんともいえぬ嫌な気分になることがある。今回は、そんな妖怪に魅入られたような心持をを振り払う意味からアプローチを変えてみた。DAYS JAPAN (デイズ ジ…

どくしょのじかん Part 2 -その2-

■公娼制の認識わたしたちは、明治以降の日本の公娼制の実態や、廃娼運動、それに抵抗する勢力、議会や内閣の各省庁の動きについてよく知らない。学校で詳しく習うこともない。ただ『当時、公娼制は合法だった。』という言葉だけが拡散し、『だからしかたがな…

どくしょのじかん Part 2 -その1-

コロコロ変わる著述 一人の元『慰安婦』の方が、複数の場所で証言したり講演したりした内容を比較し、それぞれの細かな食い違いを指摘することで証言の信憑性に疑義を呈する人たちがいる。例として、秦郁彦先生や西岡力先生をあげることができよう。 では、…

どくしょのじかん 14

秦郁彦『「慰安婦伝説」−−その数量的観察』(「現代コリア」1999年1・2月合併号)[以下、『伝説』と略す] では、先のエントリーで示したように、8項目を「箇条的に取り上げ」ている。そのうちの、(7)は次のような下りで始まる。 7、主要各国の軍隊にお…

どくしょのじかん 13

今回から、しばらくは、秦郁彦氏が書いた以下2本の論文を取り上げることにした。『「アジア女性基金」に巣喰う白アリたち』(『現代史の対決』2003年、文藝春秋に収録*1)[以下、『白アリ』と略す]『「慰安婦伝説」−−その数量的観察』*2(「現代コリア」199…

どくしょのじかん 12

どくしょのじかん 1で疑惑が起こっていた報告書(エントリーおよびコメ欄参照)"Composite Report on three Korean Navy Civilians List No. 78, dated 28 March 1945, "Special Questions on Koreans" (U.S. National Archives)."についての続報です。 こ…

どくしょのじかん 11

(このエントリーは果てしなく無駄で機械的な作業ですので、気が向いたときに作業続行します。永遠にかきかけになるかもしれません。)作業完了しました。 クマラスワミ報告書の評価 秦郁彦『慰安婦と戦場の性』(1999年、新潮選書)、282ページ 従来…

どくしょのじかん 10

ひさしぶりに秦郁彦先生の『慰安婦と戦場の性』(1999年、新潮選書)について書いてみたい。少し前に、秦先生の女性観を端的にあらわす部分を引用して紹介したので、今回は、秦先生の引用テクニックについて書いてみる。 『慰安婦と戦場の性』の「第11…

付録2 慰安婦関係の本でいままでに一番唖然!とした文章

慰安婦の殺害や虐待は、この種の身の上話にしばしば登場するが、彼女たちは業者にとっては前借金を払った商売道具であり、軍にとっても兵士にサービスしてもらう存在だから、それなりに遇していたはずだ*1。 殺したり傷つけては元も子もなくなるからである。…

どくしょのじかん 9

(この記事は書きかけです) 【年表】秦郁彦と吉田清治 年月日 ________ 概容 1971/08/23 週刊実話 「"性戦"で"聖戦"のイケニエ、従軍慰安婦」の記事。千田以前に「従軍慰安婦」が使われいたことを示す。 1973/10/ 千田夏光 『従軍慰安婦−”声なき女”八万人の…

どくしょのじかん 8

(追記あり、ひきつづき情報収集および編集中。まとまった段階で新エントリ作成します。) 『済州島新聞の吉田清治記事』 秦郁彦著 『慰安婦と戦場の性』(1999年、新潮選書)232〜233ページより引用 1989年に吉田〔清治〕著が韓国語訳(清渓研究所…

どくしょのじかん 7

秦郁彦著『慰安婦と戦場の性』について、これまで、資料の取り扱いや引用(要約)の杜撰さ、欺瞞について触れてきましたが、あまりに多すぎて、なにがなんだかわからなくなってきました。一度、内容を整理して、次の目標を設定したいので、目次を書き上げて…

どくしょのじかん 6

(2007年8月12日 dempaxさんからの情報を加え、記事を再構成しました) George Hicksを陥れる手口 3 どくしょのじかん 5 につづいて、ジョージ・ヒックス『性の奴隷 従軍慰安婦』に対する秦郁彦先生の批判を『慰安婦と戦場の性』から引用してみる。 また〔…

どくしょのじかん 5

George Hicks を陥れる手口 2 秦郁彦氏は、ジョージ・ヒックスの『性奴隷 従軍慰安婦』の中に、一団の「朝鮮人女性たち」という事実ではないかもしれない記述が混入した原因(詳細は「どくしょのじかん 4」参照)について、次のように記述している。 つま…

どくしょのじかん 4

George Hicks を陥れる手口 1 うちゃさんのブロク Non-Fiction(Remix Version) しゃれになりませんは、マイクル・シャーマー著「なぜ人はニセ科学を信じるのか」に出ている、「創造論者とホロコースト否定論者のとる議論手法の類似点」をあげて、秦先生が歴…

どくしょのじかん 3

秦郁彦先生の『慰安婦と戦場の性』はその引用文献の多さと、不正確かつ恣意的な引用だけが醍醐味ではなく、秦先生がお書きになる文章そのものにも歪んだ趣きがあるのです。今回からしばらく、『第九章 クワラスワミ旋風』からの抜粋を少しずつ紹介していきた…

どくしょのじかん 2

私はハーバード、コロンビア両大学で学び、プリンストン大学で教えた経験がある。レポートを書いて採点されたこともあれば、採点したこともあった。採点する時は、まず末尾の脚注(フットノート)を点検するの慣例だろう。引用文献の数、参照した文献の質、…

どくしょのじかん 1

慰安婦問題関係の必読書と言えば、吉見義明先生の『従軍慰安婦』(1995年、岩波新書)と秦郁彦生の『慰安婦と戦場の性』(1999年、新潮選書)であろう。今回、秦先生の本をようやく手に入れたので、早速、読み進めている。 吉見先生の本は専門知識が…